東京大学 石川研究室の論文

最近の論文

Radiological characteristics of MRI-based VIP polymer gel under carbon beam irradiation

要旨訳: 炭素ビームを135〜290AMeVで照射した際のVIPポリマーゲル線量計の放射線に対する特性を調べた。VIPポリマーゲル線量計の応答を、MRI(核磁気共鳴画像化装置)で測定したR2(スピン−スピン緩和速度)を、従来のような侵入深さの関数としてではなく、LET(線エネルギー付与)の関数として評価した。LETは重粒子線輸送計算コードPHITSを用いて評価した。その結果、(1)線量平均LETが増加すると感度が減少すること、(2)線量応答とLETの相関関係は、照射する炭素ビームのエネル...

A diffusion-free and linear-energy-transfer-independent nanocomposite Fricke gel dosimeter

要旨訳: 核磁気共鳴画像化装置(MRI)ベースの新しいナノコンポジットフリッケゲル(NC-FG)線量計を報告する。従来のフリッケゲル線量計では、重粒子線に対して用いた場合、放射線生成物が拡散してしまう、感度が線エネルギー付与(LET)に依存するという2つの欠点があるが、今回報告するNC-FG線量計にはそのような欠点がないのが特長である。NC-FG線量計は1% (w/w)クレイナノ粒子を脱気フリッケゲルに混ぜて作り、その特性を290 MeV/nucleon炭素線照射後のMRI測定で評価した。...

Pulse-delay effects in the angular distribution of near-threshold EUV + IR two-photon ionization of Ne (2014)

要旨訳: フェムト秒極紫外(EUV)自由電子レーザーと近赤外(IR)レーザーの組み合わせによる、Ne原子のしきい値近傍での2光子イオン化による光電子角度分布(PAD)を実験的および理論的に調べた。時間依存シュレーディンガー方程式の解により、PADはEUVパルスとIRパルスの時間差に大きく依存していることが示された。この理論的予測は、完全に重ねたパルスと、全く重なっていないパルスという2つの極端なケースの実験結果からも確かめられた。PADの時間遅延依存性は、2色2光子イオ...

Theoretical study of pulse delay effects in the photoelectron angular distribution of near-threshold EUV+IR two-photon ionization of atoms

要旨訳: フェムト秒極紫外(EUV)および近赤外(IR)レーザーパルスの組み合わせによる水素原子および希ガス(He, Ne, Ar)原子の2色2光子イオン化で放出される光電子角度分布(PAD)を理論的に解析した。時間に依存する2次の摂動論を用いて、2光子イオン化プロセスがEUVパルスとIRパルスの遅延にどう依存しているか、および共鳴イオン化経路と非共鳴イオン化経路の競合とどう関係しているかを明らかにした。さらに時間依存シュレーディンガー方程式を解くことで、異方性パラメ...

The structure of approximate two electron wave function in intense laser driven ionization dynamics

要旨訳: 高強度場中の電離ダイナミクスを記述するための近似的な二電子波動関数の構造を、理論的および数値的に詳しく解析した。まず、二電子一重項系では拡張ハー トリー・フォック法【TD-EHF法:Phys. Rev. A 51, 3999 (1996)】と占有軌道数2の多配置時間依存ハートリー・フォック法が等価であることを理論的に示した。さらに後者の波動関数を自然展開し、自然軌道 (NO)に対する運動方程式を導出した。これらの方法および時間依存ハートリー・フォック法(TDHF)法を一次元ヘ...

Analysis of strong-field enhanced ionization of molecules using Bohmian trajectories

要旨訳: Enhanced ionization(二原子分子のイオン化率が平衡核間距離より長い距離でピークを持つ現象)のメカニズムをボーム経路解析による計算シミュレーションで検証した。その結果、従来から予想されていたup-field coreからのイオン化に加え、down-field coreからのイオン化も発生していることが明らかになった。更に、down-field coreかのイオン化の特徴を調べたところ、イオン化率が十分無視できないものであること、up-field coreからのイオン化と異なり、電子同士の相互...

Photoelectron angular distributions in infrared one-photon and two-photon ionization of FEL-pumped Rydberg states of helium

要旨訳: (近日中に公開) Abstract: The photoelectron angular distributions (PADs) have been investigated for infrared (IR) ionization of He atoms excited to Rydberg states by extreme ultraviolet free-electron laser pulses. The experiment was carried out with two pulses which do not overlap in time. Depending on the intensity of the IR pulses, one IR photon ionization or additionally two-photon above-threshold ionization is observed. For l...

Electronic response of graphene to an ultrashort intense terahertz radiation pulse

要旨訳: 我々は最近、垂直入射するテラヘルツ光パルスに対するグラフェンの非線形光学応答を無質量ディラックフェルミオン(MDF)描像で研究し、物理的に明快なグラフェンブロッホ方程式(GBE)を導いた(Ishikawa 2010 Phys. Rev. B 82 201402)。今回の研究では、これを、強結合(TB)モデルの場合と斜入射の場合に拡張した。導出した方程式により、バンド間遷移は、運動量空間内の電子軌道に沿ったスピノル位相の時間変化に支配されること、主としてディラック点近傍を電子が...

Time-dependent complete-active-space self-consistent field method for multielectron dynamics in intense laser fields

要旨訳: 高強度場中の多電子ダイナミクスを記述するためのTD-CASSCF(time-dependent complete-active-space self-consistent-field: 時間依存完全活性空間自己無撞着場)法を開発した。TD-CASSCF法では、強く束縛され外場に応答しない電子をfrozen-core軌道、強く束縛されているが外場に応答し得る電子をdynamical-core軌道でそれぞれモデル化し、電離電子はactive軌道内で完全相関させる。これにより、多電子系における電離ダイナミクスをコンパクトかつ正確に記述することを可...

Photoelectron angular distributions for the two-photon ionization of helium by ultrashort extreme ultraviolet free-electron laser pulses

要旨訳: (近日中に公開) Abstract: The two-photon ionization of helium atoms by ultrashort extreme-ultraviolet free-electron laser pulses, produced by the SPring-8 Compact SASE Source test accelerator, was investigated at photon energies of 20.3, 21.3, 23.0 and 24.3 eV. The angular distribution of photoelectrons generated by two-photon ionization is obtained using a velocity map imaging spectrometer. The phase-shift differences and amplit...